お伺いしたTさんはジャズ好きでオリジナル盤も相当な数をお持ちである。CDも聴くがやはりアナログがメインのようだ。
ご近所のベテランオーディオファイルSさんがキタサンを誘ったのは通常のジャズオーディオマニアにありがちなJBLやアルテックのスピーカー、マッキントッシュやマークレビンソンのアンプ、ゴリゴリした押し出すようなサウンド等々…とは一線を画くシステム、ジャズに対する考え方など おそらくキタサンと同調する部分があるだろうという事からである。
室内の一部を撮影させてもらったが おそらく心当たりがあるオーディオファンの方もおられるかもしれない 有名人である。
部屋は専用室であるが比較的こじんまりとしており ユニコーンのスピーカーが壁と一体化している錯覚を覚えるほどスピーカー然としていない。部屋のインテリアと化している。
不思議と思ったのがカートリッジがSPU-GTEひとつで再生、所有しているオリジナル盤は半数がモノラル音源にも関わらずちょっと意外であった。
結構高価な機材(笑)をお持ちでモノラルカートリッジのひとつや二つ難なく購入使用は可能であるとは思うが いまのところ敢えてこのカートリッジを主に再生されているとのこと。実際モノラルカートリッジはオーディオ仲間からよく勧められて簡単に貸してくれるとの事、今度試してみるかと笑いながら話されていた。
超ベテランのオーディオファイル、ジャズフリークでありながら あえてモノラルカートリッジを使用しない?のが不気味である(^_^;)
誘っていただいたSさんは何度もこちらに訪問されているので(sさんはクラッシック専門)本日は同じジャズ好きのキタサンの為にほぼジャズアナログオンリーでのオフ会になった。恐縮してしまう…
アンプが温まるまでしばらくCDをかけて耳馴らしということであったがユニコーンから鳴る音は実に不思議な音であった。
ジャズ好きのオーディオマニアとは違う雰囲気が部屋中に漂っていた。「お好きなジャズ喫茶とは結構違うでしょう」とTさんは笑いながら話していた。
確かに違う、 しかしジャズの熱さはひしひしと伝わる…重い音では無い、それでいて軽くない、不自然な低域の重さは感じられない、ちょっと形容しがたいジャズ再生である。 この音 どこかで聴いた事がある… そうキタサンの家の音に似ている。もちろん音の迫力、厚みなどTさん宅には全く及ばないが雰囲気と自分が何となく求めている音に似ているような気がした。
Tさんはオリジナル盤でもステレオ録音のものばかり再生してくれた。Tさん曰く「コアなジャズファンはモノラル命とばかりステレオ録音をロクに聴かないでモノラルばかり聴きたがるが ステレオ録音も ものすごく良いものも沢山ありますよ」と今回キタサンはモノラル盤ばかり持参して聴かせてもらおうと思っていたところカウンターパンチを食らってしまった(笑) 色々コアなアルバム(ステレオ盤)を何枚か聴かせていただいたが圧巻はこの2枚であった。
Tさんはここ1年ほどオーディオ再生にあたり その調整にかなり苦労されていたようだ。アナログプレーヤーもしかり ユニコーンのセッティングの微妙な位置決め、角度調整など 一斉お金がかからないで出来る調整をコツコツとやられようやく納得のいく音が出るようになったらしい。アクセサリーやルームチューニンググッズに頼らなくても又イコライザーなどではなく最後はやはり自分の耳、感覚が決めてであるとも話されていた。
今回ステレオ録音の再生にあたりTさんがその調整を行ってきたある方法、考え方を聞いたが なるほど~と感心してしまった。
色々 オーディオの事で不思議に思っていた事が幾つかあったが その幾つか?の答えを教えてもらったような気分である。
オフ会では楽しい事も多かったが 今回は楽しさもさることながらオーディオの奥深さも勉強させていただいたような気がする。
最後にタイトルの「良いジャズ」だがジャズは個性的な音楽である。オーディオ再生におけるジャズも人それぞれ再生の仕方、とらえ方が違うと思うので正解はないとも思っている。今回聴かせていただいたジャズは奏者の息遣いが分かる そして迫力も十分兼ね備えた素敵なジャズである そういう意味で良いジャズなのである。それとは又違う退廃的で重苦しいジャズも存在するし 落ちぶれた哀愁漂うジャズもある。再生する人の育ってきた環境、嗜好、考え方により そのどれかに趣きをおいた再生音になるものなんだなぁと帰宅してシミジミ思った。