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カテゴリ:クラシック( 2 )

美しい嘘

ジャズにはスタンダートという古い映画音楽や舞台音楽をアレンジしたものがある それに対してミュージシャン自ら作曲したオリジナルというのも存在する。

最近クラシックを聴くことが多くなったがジャズでいうスタンダートがバッハでありモーツァルト、チャイコフスキーなど昔の作曲家が作った作品にあたる(作曲家にとってはオリジナル)
それを長い年月をかけ様々な奏者が演奏しクラシックという音楽体系を築いた そこには作曲者が作ったスコア(譜面)がありそれに基づいて演奏するわけだがジャズの場合スコア通りには演奏しないのは周知のとおりである 「アドリブこそジャズ」という人もいるぐらい自由である。それではクラシックは自由がなく固定なのだろうか?

いやいやそうでもない 確かにスコア通り演奏するが指揮者によりテンポが違っていたり曲の解釈が違っていたりする その解釈こそ重要で同時に作曲者へのリスペクトに値する。

キタサンはジャズに対して最初は懐疑的であった 20歳そこそこから聴いてはいたが馴染めず集中的に聴くようになったのは20歳後半からであるそれは実際のミュージシャンの演奏を直に聴くようになってからである 聴いて気に入ればそのアルバムも買う(聴く)そしてその人の事を知ろうとする 当時はインターネットなんて便利なものはないので書籍や実際交流があった人のミュージシャンとのエピソードを聞いたり その対談集を読んだりし 素顔がどういう人なのか音楽以外の面を色々追っていた(何だかストーカーみたいだが…)英語は余り得意ではないので話なんてそれほど出来なかったがお会いした海外のジャズマン達とは必ず握手してもらった その時の感触そして感動は結構今でも覚えている。

そういうモダンジャズの道を作ってきた人たちがどんどん姿を消し(鬼籍に入った) 次第に聴きに行かなくなった。偶然かどうか分からないがそういうタイミングでオーディオを始めたのが50歳手前の頃である。

先ほど挙げたクラシックの作曲者を知ることはその曲の解釈には欠かせない それは音楽的な事ばかりではなく私生活のエピソード、曲を作った時の時代背景、心情、恋愛状況、経済状況とありとあらゆる事が昔の事なので想像でしか解釈出来ない その知っている要素の組み合わせ?でどういう風に作られた曲なのかどう演奏するべきなのか咀嚼分析する事により演奏の自由度(幅)が広がり同じスコアでも奏者により違ったものが出来上がるのだと思う。

自分は音楽や音に関してはどちらかと言うと無頓着な方でジャズはその演奏する本人自身や時代を知る事により興味を持って聴いてきた そして演奏する本人たちが亡くなってしまったので興味が徐々に薄れてしまった 演奏を記録した媒体はその本人の一部ではあるが全部ではない むしろ見せかけの部分も多いように思う。

クラシックの場合は基本作曲者への曲に対する解釈がその要諦だと思う。その解釈をして演奏したアーティストに対して視聴者は更にどのように解釈したか自分と奏者の解釈の違いを確認する…何とも複雑で面倒だ(笑) ジャズは奏者の素の部分をどう知るか、どう暴くかをポイントにしていたが(自分は)クラシックは奏者の先の作曲家を知る事から始めるのが無難なようだ 音に対してどうこう言うのはまだまだ先になるだろう そういう意味で別に高級なオーディオ装置を使わなくても普通のオーディオにシフトしたことは自然な流れであったように思う。

ジャズでさえその演奏の雰囲気(内容)と本人のギャップは大きかった事はよくあったが クラシックはもっと大きいように思える…綺麗なものにも醜の部分はあるそしてその逆も然りである その美しい嘘をどれだけ見つける事が出来るか 単純に音だけでは判断できない事が沢山ある 見た目の豪華さやきれいな音だけでは分からない事 そこに真実があるように思う。

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亡き王女のためのパヴァーヌ 水の戯れ ソナチネ 名曲ぞろいのラヴェル 誰の演奏がいいかな?なんて何気に選んでしまったフランソワのCD 技巧にはしる事がないふくよかな音色 これも愛聴盤になりそうだ… 

by kurama66644 | 2019-02-11 10:00 | クラシック | Comments(2)

月の光

月の光を見ているとその間 時間が止まったような感覚に陥る この感覚は昔 田舎で雪を見ていた時の感覚と似ている 周りの喧騒が一瞬のうちに静かになり色々な音が鳴っているのにその静けさと言う不思議な音に心が洗われる。

「月の光」はドビュッシーが作曲したベルガマスク組曲の第3曲で有名な曲なので聴いたことがある人も多いと思う タイトルは知らなくてもその旋律や曲想はどこかしらで聴いた記憶がありキタサンもそうであった。先日買った辻井伸行さんのデビュー10周年の記念アルバムにも収録され これを聴いて驚いてしまった…
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クラシックにおける曲の解釈はまだできないので勘弁してほしいのだが そのピアノの音色はどういう風に弾けばそう鳴るのか(出るのか)興味深かった。ピアニッシモで演奏されている夜想曲であるわけだがこれほど美しく宙に漂う音って出るものなのだろうか?鍵盤に触れるか触れないかのギリギリのタッチであると そもそも音は出ない 曲を聴いていると静かな演奏だが終始 音の芯はハッキリしてその芯の周りに付帯音が囲み羽毛のように漂っている感じに思える。

辻井さんはご存知の通り目が見えないハンディをしょっている ただピアノを前にすると力が抜ける いわゆる脱力状態にあるのではないだろうか
どこにも力を入れないで緊張状態から離れた柔らかい状態にするというのはおそらく普通の人では出来ない 力を抜いた流れの状況が核分裂のような反応を起こしものすごいエネルギーを生むというのは聞いたことがある 正にその状態になっているのだと思う 力を抜くというのは通常 力を出すのに用いる速度や距離と言った概念が無くなる 目が見えない辻井さんは見えない世界の「無」から「有」を生み 目の見える我々はその「有」を「無」と感じる それが辻井さんのピアノの音色の特徴でもあるように思う モニクやロジェもいいがある意味達観していない辻井さんのピアノは純粋に聴こえる。

キタサンの今使っている英国製のクリークのアンプとCDPだがピアノの音がとても可憐に聴こえる 青空の元 桜の花を眺めるかの如く幸せな気分にさせてくれるこの「普通のシステム オーディオ」で辻井さんの月の光の演奏を聴くと青空が月明かりの夜空に変わる(笑) そして一陣の風が吹き桜を宙に舞い上がらせる そういう景色が見えてくるかのようである。

クラシック素人の自分はロクな感想を書けないが 今回はドビュッシーと辻井さん二人の事を少し知った ドビュッシーの曲と辻井さんの演奏をもう少し探ってみたく思う。ジャズも最初はそうだったマイルスやコルトレーン、エバンスを少し知り その先を知るようになりどんどん枝葉が広がって何十年も経過し多少は知識も増えていった 少しづつ興味を持ってクラシックにも接していこう。

※タイトルがサウンド・オブ・ジャズから「Grain of sound」(音の粒)に変わりました。



by kurama66644 | 2019-02-10 07:17 | クラシック | Comments(2)

感じた事を素直に書きます 一日一つは何かを得、逆に何かを手放すように心がけています


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