音楽の館
さぞかしオーディオシステムにお金をかけているだろうと想像するがご本人曰く 「自分は貧乏だったのでそれほどお金をかけられなかった やれる範囲でチャレンジしてみた」との事 なるほど上流部分の機器だけみても昨今の金満オーディオの類ではなくとても質素なもの 下流部分はカスタムして作成したものが多い ただし長く使う事を前提としていたので部品等は今の使い捨ての安い部品とは違い上質のものが多い そして故障したときの事を考え仕組みをなるだけシンプルにしている。
オーディオルームはガチガチにしてはいけない!と若い頃オーディオルームで音と格闘されていたそんな経験が生かされている部屋(ホール)の造りだ。
そして「オーディオルームを完璧にしようといじればいじるほど音は悪くなる」とこれまでの長い経験から話されていた。ある種 大雑把な方が音が上手く逃げ楽しませてくれるなど含蓄のある言葉には説得力がある。
壁に埋め込まれた8つの巨大ユニット 1番上の朝顔型ラッパ口のユニットが全体の帯域の80~90%を受け持ついわゆるシングルホーンであるとの事 残りの3つのユニットは高域ではなく低域の足りない部分を補う補助的な役割に過ぎない。実際家庭用オーディオで殆ど聞こえる事がない正確なパイプオルガンの極低域の重低音 うなりとも判別しかねない領域をいとも簡単に再生していた。
正面にあるグランドピアノの屋根の開閉角度でこのホール全体の(オーディオ再生時)調音を行っているのには驚いた。屋根を開く角度でホールでの音の響きが明らかに違う 広く開閉すればするほど音は柔らかくなり狭くなればシャープになる 楽器そのものを調音材として利用するのは広さゆえの理由の他 電気的なアンプなどでのトーンコントロールでは自然な音の減衰が出来ないらしい それと聴く場所で音はかなり変わるのはクラッシックでの演奏会場など行けばお分かりであろう。
一番前の正面に座って聴くとホーンの指向性でいかにもオーディオ(スピーカー)が鳴っている感じは否めないが中ごろの席に移動するとフワーッとした包み込まれる音がする すなわちホールの響きの音なのである。
かけて頂いたのは殆どがクラッシックであったが交響曲(シンフォニー)はやはり圧巻である。実物大で鳴る迫力は家庭用で広いといえる規模の大きさでもここまでは再現されない それでいて大音量でも圧迫感がないのは有り余る空間の広さのおかげであろう。
オフ会?最後の方はステージに上がり実際グランドピアノを弾かせてもらった(弾けないけど…) 簡単なコードをおぼつかない指で鳴らすとホールに響く 何故かとてもうれしくなる(笑) 場所は都内ではなく関東平野内、出不精のキタサンではあったがとても貴重な体験で有意義な一日であった。
不思議な事にその感覚は全くなかった。このホールで聴いていた時 キタサンは殆ど目を閉じて聴いていた そこには自宅で聴く音楽と同様のテイストがあり音楽の再生はスケールとは又別のものである事を再認識した。つまり頭の中でいくらでも音楽の規模を拡大できるのでリアルな規模はそれほど必要ない場合もある。主催者(所有者)もこれだけの規模をお持ちではあるが考え方は同様であるように思う。
いやいや世のなかには凄いかたがおられるのですねぇ!
もうこれは完全に演奏会場ですものね。
名だたるマエストロが棒を振る、時空を超えた空間!
参りました・・・
この方はワーグナーとベートーベンが大好きなんです(笑)
交響曲を身近で聴きたいという強い要望からこのホールが出来ました。
オーディオだけで見ると驚くほどお金はかかっていないようです。規模は大がかりですが…それほど質素なシステムです。一般家庭でオーディオに凝っている方のほうが お金をかけていると思います。
不思議なのですが この超ど級のシステムを聴いて自宅の小規模なシステムと相通ずるものがあると感じてしまいました。自分の所のシステムがすごいと言っているのではありません。音楽に規模の大きさは関係ないと分からせてくれたのです。そういう普遍的な事を教えてくれるオーディオのシステムはホント稀ですね。オーナーはとても柔和で熱いものを持っている方です。