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エボニー・アンド・アイボリー

「エボニー・アンド・アイボリー」は80年代初頭 スティービー…ワンダーとポール・マッカートニーが歌った曲だがピアノの黒鍵と白鍵を黒人と白人に例え人種融和を訴えるメッセージソングととしてヒットした。 当時キタサンも小林克也のベストヒットUSAのビデオクリップを見て(聴いて)よく覚えている。

80年代でさえこのような人種問題に対する啓発的な事をしていたとなるとそれより以前の50年代、60年代なんて当時のアメリカはどうなっていたのかは想像に難くない。
実際有名なジャズメンが沢山60年代に渡欧したのはジャズの音楽シーンがハードバップからフリーに移行するのを嫌がった事も原因であるが露骨な人種差別に嫌気がさし まだ肌の色での差別が緩い?欧州の方が住みやすくジャズを受け入れてくれる場でもあったからだと思う。

ここに1枚のアルバムがある。
CAPITOLのジョージ・シアリング クインテットにナンシー・ウィルソンのボーカルが参加したアルバムである。
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作品は60年代初頭ナンシー・ウイルソンの確かデビュー3作目あたりであろう。イギリス出身の盲目のピアニスト ジョージ・シアリングの端正なバックの中 若いウィルソンが溌剌として歌っている。今やジャズ界のみならずポップスも含めた歌謡界の大御所でもあるウィルソンだが この頃は見た目も含めてまだまだ初々しい。
洒落たシアリングのピアノにウィルソンの弾ける様なキレのある歌声 中々のものである。amazonのCD批評でもジャケットもおしゃれで内容もgood!なんてコメントもされているようである。 

ところで皆さんはこのジャケットを見て何か感ずるところがあるだろうか?

確かにナンシー・ウィルソンは可愛い(笑) 椅子に座りお互いに相手のアルバムを持っている。

ナンシー・ウィルソンはジョージ・シアリングのアルバムをひざ上に掲げている、それに対してジョージ・シアリングはナンシー・ウィルソンのアルバムを床に置いている。 アルバムの上下の位置  どちらが上か下か 単なる構図の関係でそうなっただけなのか 奏者側には関係ないことかもしれないが製作する側で意図的に施した感じがしないでもない 何となく嫌な感じがしてしまう。

60年代以降公民権運動をバックに人種問題を提起するアルバムは多数だされた。ナット・ヘントフを責任者とする「Candid」は主に黒人側からの意思表示を明確に出したレーベルでもありベースのチャーリー・ミンガスなどの幾つかのアルバムは もろに白人を批判している。

製作する側は圧倒的に白人が多い、主張する黒人側の意見をメッセージとして音楽に表現する事を善しとしない白人たちの気持ちが先のCAPITOLのアルバムジャケットのように密かに反映されたのではないかと暗に思う。

楽しみや喜びを得、安らぐために音楽は有ると思うが その根底にはそれと相反した怒り、悲しみ、悔しさなどの様々な感情も同時にある。
その両方の機微を受け入れたものが音楽であると思う。
単純に高音がどうこう低音がどうだという音の振幅だけで捉えるのもありかもしれないが  個人的には その機微が分かるようなオーディオにしたいと思っている。

口で言うのは簡単だが現実としてその目標?は抽象すぎて自分でもよく分からない(笑)

※単なる独り言です


by kurama66644 | 2016-10-29 18:44 | Comments(2)
Commented by senriyan at 2016-10-29 20:23
キタサンこんばんは。
あーこれはまったく気づきませんでした。キャピトルのシアリングのレコードは好きで何枚か持っていますが。
まあ、内容に比例して何よりとにかく良いデザインではありませんね。
キタサンのオーディオの意味分かるような気がします。音を流した時、そこから、何もかも飲み込んで澄んだ部分のみが残る音。
良い音楽も、こうなれば、名だたる銘柄の蒸留酒といったところでしょうか。
Commented by kurama66644 at 2016-10-30 09:50
> senriyanさん こんにちは。

音楽だけの話ではないと思いますが物事には全て表裏があります。
楽しそうに見えて実は大変に苦労を重ねているとか いつも大変そうだなと思ってみているととても楽しい趣味や希望のようなものを持っているとか お金持ちだけど病気もちでしんどい思いをしている、その逆もあったりで… 表面上では決して分からない部分が人それぞれあります。

その表面上では分からない微妙な部分 ちょっとした事で垣間見れる瞬間ってあると思うのです。そういう部分も含めて見て、聴くと今まで思っていた事ってどうなんだろうと見直しも出来たりして… 音楽からオーディオから得られるものの幅を広げる(視点を変える)聴き方が出来ればいいなぁと思った次第であります。(ちょっと大げさかも(笑))