カテゴリ:ジャズ( 144 )

ジュリー・ロンドン

ボーカル物は昔から余り聴かなかったがアナログを始めてから聴く事が増えてきた それでもジャズ全体の中では聴く割合はまだまだ少ない。

ジャズファン特にジャズオーディオファンに至っては女性ボーカルを聴く事が多いと思う。オーディオファイルの大多数が男性でしかも年配であることからして必然的にそうなる。 自分が若い頃(30代)まだオーディオに興味が無い時分 昔の女性ジャズボーカルを好んで聴いていた方と懇意になった。その方はアナログ専門で部屋のあちらこちらに女性ボーカルのジャケットを飾って悦に浸っていた。色々聴かせていただいたが昔のジャズボーカルはどれも似たような雰囲気で何が良いのか分からなかった それよりハードバップのジャズを聴かせて欲しいと心の中で思っていたが言い出せず黙って聴いていた(汗) そういう中その方はとりわけジュリー・ロンドンのファンでアルバムを何枚か見せて(聴かせて)いただいた。顔だけがアップのジャケットが多いボーカル物だがジュリー・ロンドンのアルバムジャケットは中々センスが良く惹かれていった。
ずいぶん色気のある艶っぽいお姉さんの印象を受けたが録音された頃は自分の年齢とさほど変わらない あちらの歌手は成熟しているのだなぁと当時変な感想を持ったのを思い出した。

今回(先週かな)女性ボーカルのセールを行っていたのでジュリー・ロンドンのアルバムを何枚か見かけた。この方のアルバムは流通量が多かったのだろうか?意外と安めの設定である まぁボーカル物は特別なものを抜かして総じて安く設定しているのであろう。特定のコアなファンを除いて需要がそれほど多くないのかもしれない。
今回キタサンはオリジナルではなくセカンドを購入。実はオリジナルも置いてあり決して買えない金額でもなかったのだがジャケットが不良 それならばジャケットが比較的シッカリして安いセカンド盤でもいいかなと思った次第である。

こちらのアルバムは「London By Night」 58年のモノラル盤である (※セカンド盤なので60年以降の再版)
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このアルバムは以前復刻盤で最新の?アナログを買ったことがあったがすぐ売却した…。聴いていてノイズも無いし何も問題がなかったがバックのオーケストラに合わせてただ単に歌っている感じで余り感動を得られなかったのが原因である。オーディオ的にはきれいな音で良いのかもしれないがとても平坦に聴こえた 手がけたエンジニアの腕、感性によるものだと思うががっかりした。そして今回のオリジナルではなくセカンド盤であるが盤質Bで状態はさほど良くなかったがクリーニングを何度か施しプチパチは最低限抑えた トーレンスとオルトフォンのモノラル針で聴くよりDual、シュアーのN44-7で聴いた方が情感があり良い印象を受けた。これは使っているプリアンプの違いからくるものかもしれない…ラックスマンファンには怒られるかもしれないがQUADの方が歌を素敵に聴かせてくれる術を知っているように思えた。

ヒットしたデビュー作のパート2にあたる「Julie Is Her Name Vol 2」こちらも58年の作品だと思うがステレオ盤。(※セカンド盤なので60年以降の再販)
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このモノラルオリジナルも置いてあったが先述したとおりジャケットが痛んでいたのでこちらのステレオ セカンド盤を購入。
語りかけてくれるような言葉の節回しが何とも言えない。デビューアルバムの二番煎じのような気もしたが憂いを持ったデビューの頃の声より思いを伝える意思のようなものを感じ今回の歌声はそれはそれで良かった。

Libertyは60年からステレオ、モノラル同じデザインのセンターレーベルになった。白と金の自由の女神がロゴになり66年まで続く 80年まで再度自由の女神のロゴが変わり80年以降はグレーのセンターレーベルと味気なくなってしまった。
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それにしてもキタサンもジュリー・ロンドンを聴く歳になったか…夜中に静かに聴いていて何だかいいんだよなぁ~

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by kurama66644 | 2017-12-06 07:20 | ジャズ | Comments(0)

インストアライブ

書店やCDショップなどで文化人(芸能、作家、ミュージシャン等)を招いてトークショー、サイン会、演奏を行う催しの事を言う。

先週ユニオンに行くと棚の配置がいつもと違いエレピが置いてある 店内にいる人数も多めだ。レコードコーナーはいつもと変わらずでボーカルのセールを行っていた残骸?が店内所狭しと陳列されていた。普段ボーカルなど余り買う事はないのだがオリジナル等が多く置いてあるのでエサ箱を物色する すると「インストアライブまであと30分ありますもうしばらくお待ち下さい」と店長がマイク片手に話していた。そういえばCDコーナーあたりはイスがあり結構沢山の人が座っていた。 よーく見ると大西順子が今回のゲストらしい 何!あの大西順子?確か2010年頃引退したと言う噂を聞いたが復帰したのか…昔のジャズを探してばかりで現在のジャズ ましてや日本のジャズは殆ど疎くなっていた。

大西順子といえば90年代初頭 美人?ジャズピアニストとして一斉を風靡、メディアにも沢山露出しCMやテレビのジャズ番組の司会(アシスタント)とマルチの働きをしていた才女である。ジャズというと男の独壇場で汗とパワーの世界 そういう中 実力もあり女性で見た目も良いとあれば世の男性そしてメディアが商売として食いつかないわけにはいかない 評論家もごり押しして聖地ヴィレッジバンガードでのライブも決行 順風満帆なスタートを切った。しかし2000年前後にはその勢いも終息しだんだんメディアにも姿を現す機会が減った。ジャズ自体がモダンジャズのレジェンド達の引退、死亡や他の音楽ジャンルへの興味など下火になってきた影響もあるのかと思う。

キタサン自身もこの頃は今のように古いジャズメインではなく総合的に色々な時代のジャズを聴いていたのでこの大西順子のアルバム(CD)は全て持っていた。
懐かしいなぁと思いつつ 今はそれよりアナログレコードを探すのが先決!と物色していたが定刻になり彼女が姿を現した。黒縁のめがねをかけ普段着の装いで現れた 時間が30分ぐらいの予定でこの会場(店内)にはピアノがないので基本トークがメインであると司会の方が話されていた。それでもエレピを用意していたのでソロとはいえ演奏するのかと思っていたら好きなアルバムを店内でかけその合間に話をするという本当のトークショーの様相である。今回発売された2枚の新譜を購入していただいた方にだけ終わりのサイン会等の券が貰えるらしい… まぁ本人も本物のピアノもなく演奏会場でもないところでタダでは演奏できないプロの意地のようなものがあると思うしCDの売れ行きも気になるところであろう。エレピとはいえ楽器が用意されていたので弾くところを聴いてみたく30分近くユニオンに滞在したが弾く感じでもなく25分が過ぎたところでキタサンも4枚アルバムを購入 ユニオンを後にした。結局最後の方で1曲ぐらいは弾いてくれたのかもしれないが聴きたくなったらライブ等 お金を出して聴きにいけばいいことだし それよりも購入した4枚のアルバムをはやく聴きたく帰路を急いだ。

家に帰りネットで彼女の近況を調べるとやはり一度引退宣言をしピアノも廃棄したらしい それだけ演奏活動が過酷で色々悩んだ結果ということだが3年前に復帰し以前のように精力的に活動しているようだ。秋吉敏子と言う日本の女性ジャズアーティストのパイオニアがいるがそれに続く女性アーティストが出現し当時ジャズファンは喜んだ。現在は若い女性でジャズを演る人も増えてきたようだがモダンジャズではなく色々なジャンルを取り混ぜた複雑なジャズを演る人が殆どだ。純粋にモダンジャズでは食べていけないのであろう。60年代から70年にかけモダンジャズの巨人と呼ばれた人達でも音楽(ジャズ)だけでは食べていけずタクシーの運転手をやったりホテルの従業員だったり 学校の先生を兼務でやったりと生活が苦しいミュージシャンは沢山いた。ロックや歌謡曲なら一発ヒットが出ると印税で食っていけるほど優雅と聞いたことはあるがジャズはマイナーな音楽だからそんな大ヒットが出るとは思わないし厳しいのだろうなぁ~。

帰路の途中 木枯らしが吹く中 神保町の交差点で救世軍のコーラス楽器演奏と野外?での生演奏を聴けた…今年も残すところあとカレンダー1枚である。

今回購入したアルバムの1枚
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最近 この手のジャズを聴くことが多くなった。オリジナルとは言え結構安い(笑) しかもステレオ盤 人気が無いのだろうなぁ~
こういうアルバムこそ それこそ大型のスピーカーがマッチする。ソナスのしかもMinimaでホゲホゲテナーを聴くなんて変わり者である(汗)

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by kurama66644 | 2017-12-02 08:09 | ジャズ | Comments(4)

有名でない盤を聴く

先週に引き続き又 ユニオンに出かけてしまった。先週は3枚ほど購入したが今回は2枚  何やら年末のセールをやっていたようで着いたのは14時過ぎいつもより新入荷の盤が多い。オリジナルマニアは又先着抽選札を片手にダッシュで欲しい盤を選んだのであろう その残骸が今あるエサ箱の中にあるようだ。

壁には190,000円やら60,000円やらの有名盤が飾ってある よーく見ると盤質Bのものもあるし傷盤もある。良いものはマニアがもう手放さないのであろう。この廃盤探しオリジナル探しを行い4年が経つ 年季のあるマニアからはまだひよっこで初心者扱いであろうが有名盤でなくても「オーッ」と思う盤はたまに見かける。それは長年ジャズを聴いてきた者の勘である その勘で自分が知らなくても何となく相性が良い盤に遭遇する そのために店内をウロウロしながら物色しているのだと思う。

今回何気に手にとって好感触だった盤がこちらである。
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※左がキング盤、右がオリジナル
ナット・アダレイの初リーダー作 SAVOYの「ザッツ・ナット」である。
こちらはキングの復刻盤で既に持っていてナットもさることながら競演のリチャード・ジェロームソンが思いのほか良かったので愛聴盤であった。
比較的安い値段で赤ラベルのオリジナルでもあったので購入。盤質はBだがそれほどひどくなさそうであったが家で聴いてみると結構プチパチノイズが多い…検盤はしてみたもののその場で視聴しなかったのでまぁ仕方が無い。キング盤はオリジナルを忠実にカッティングした優れた盤であったがオリジナルはプチパチノイズが多いとは言え更に凄みのある音であった。若いナットやリチャードソンの溌剌としたほとばしる汗が見えるかのようなバンゲルダーの録音が又素晴らしい クリーニングをすれば結構まともに聴こえるだろうし ジャケは地味だが内容はとても満足のいく盤で購入して良かったと思う。


そしてもう1枚 若くして亡くなったアーニー・ヘンリーの最後の作品「ラスト・コンサート」 リバーサイド モノラル盤である。
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アーニー・ヘンリーは好きなアルトサックスでCDではもちろん所有して何度も聴いていたがオリジナルは縁遠く購入に至らなかった。たまたま壁ではなくエサ箱にこの盤が何気に置いてあったのは午前中の争奪戦でお金が足りず誰かがエサ箱に戻した物かもしれない ジャケットの角は少しつぶれ盤質もBなので普段は買わないのだが1万円を切る価格だったので(ちょうど手元に1万円残っていた…)思わず購入。 家で聴いてみたが先ほどのSAVOYほど押しは強くないがリバーサイドらしい録音に納得 ただしこちらはSAVOY盤より更にプチパチノイズが多い(汗) モノラル針で聴いてもカゼ引き盤と間違えるほどノイズが多い せっかく内容は良いのにちょっとがっかり。
盤クリーニングをして多少良くなったとはいえ盤質BではなくB-ではないか? この時代のモノラル盤は市場に出ているのはこういうものばかりなのか? 考えてみるとモノラル時代からもう半世紀経っているので一般的に流通しているものでまともなものはもう殆どないのだろう。 知り合いのジャズオーディオマニアは今から敢えてアナログオリジナルは購入する気は無いと言っていた 確かに下手をすると1枚でオーディオ機器ですら簡単に買えてしまうものもあるのですごくまともな意見かと思う。

CDも時々は再生しているがこの時代のものはやはりCDでは出ない音があるように思う それは同じアナログでも再発を繰り返してきた盤も同じように言える。
それは最終的に出来上がった作品の過程でたずさわった人々の違いでそうなるような気がする。最新装置でそして高解像度のメディアを使い「これまで聴こえなかった音が聴こえた」「手に取るように演奏している姿が分かるようだ」と絶賛しているコアなオーディオマニアも多い。確かにその通りで当時の技術では解析?出来なかった知られざる部分も分かるようになったのかもしれない。それは単に音の解析であって演奏をそこまでリアルに出す事を望んでいたのかどうか結局演奏者本人にしか分からない そして聴く側も焦点はそこではないだろうと思う人もいると思う。

それにしてもアーニー・ヘンリーのこの盤 きれいな盤は1万円足らずで手に入れる事自体が現状では甘いのかなぁ(笑) やれやれ…

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by kurama66644 | 2017-11-24 10:22 | ジャズ | Comments(10)

有名盤を聴く

ジャズを聴き始めて35年が経つがまだまだ聴いた事がないアルバムは沢山ある。自分はアナログ世代だがオーディオ機器が無かったので聴き始めはエアーチェックしたカセットが主であった。後にCDがメインになり80年代終わり頃からライブを聴きに行く事がメインになった それゆえ本格的な?オーディオ機器を揃えるようになったのは2007年頃と この世代としてはかなり遅咲きの感はある。そしてアナログに関しては本当につい最近(4年ぐらい前)から実質聴き始めている。

ジャズ暦はそこそこあるがオーディオ機器を通したアナログジャズ暦はまだまだ初心者に近い。それゆえジャズオーディオに携わっている人と話をしてもジャズそのものについては何とか話はついていけるがジャズに於けるオーディオの再生の仕方、オーディオ機器のセレクトなど中々難いと思う事はある。オーディオ通が進める再生環境や再生機器はどれもが高価な物ばかりで(ハイエンドに限らずヴィンテージなど)こちらの方は中々追随するのは困難である(汗)

何だか愚痴のような前置きはともかくとして最近は仕事が忙しくその反動で購入するのを止めたオリジナル等のレコードが無性に欲しくなる欲望にかられる…御茶ノ水のユニオンなども休みの日には再び訪れるようになった。といっても見て回るだけの事が多いのだがついつい購入するときもある(笑)

そういう中 エサ箱の中からふと見つけたアルバム
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オスカー・ピーターソンの「WE GET REQUESTS」そういえばこのアルバムCDでは飽きるほど?聴いたがアナログオリジナルは持っていなかった…。
値段も三大レーベル、いまやその他のレーベルでも高騰しているオリジナルの中でも安い価格表示である。もちろん盤質Aとか不具合のないピカピカのものであれば価格はそれなりに上がるが特に酷い盤質でない限りそれほどこだわらないので購入してみた。

オーディオ評では高音質で臨場感がありオーディオチェックにも最適などとよく書かれていたしCDを聴いていたときも自宅の貧相な装置でも悪くはないと思っていた。
オリジナルを聴いてみて なるほど音像のリアルさがありドラムやベースの位置関係などを探ってみたくなる そしてピーターソンの宝石のようなキラキラした流暢なピアノの音に心奪われてしまう。CDで聴いていた時はここまでの感想を持たなかったがアナログのオリジナルだと一味違って聴こえるのはオリジナル信奉があるからなのか?

ピーターソンはテクニック重視の感はあるが結構遊び心があり茶目っ気たっぷりな演奏もする。そういう面でジャズの楽しさを味わえたりも出来るが このアルバムを改めて聴くとやや気取った感じで上品に演奏している風にも思える。いわゆるジャズの入門者用ともいえるオーソドックスだが万人が楽しめるアルバム それでいて録音が中々良いので人気があり有名盤なのであろう。 しかしながら体がいまいちスイングしない…キタサンが感じる好きなアルバムは体が自然にスイングする 残念ながらオリジナルで有名盤でも体は正直に反応してしまう。

実はこのアルバムを購入するときに他に2枚ほど買った。その1枚がこちらである。
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ホンカージャズの大御所 バディ・テイトの78年 マサチューセッツ Sunday,sでのライブ盤である。発売は80年(muse)
museオールスターズと書かれているように当時museでレコーディングした新旧の面々がそろい踏みである。盟友で同じくホンカージャズの親分アーネット・コブ、モダンジャズ派からはレイ・ブライアントにアラン・ドウソウ、ジョージ・デュビビエ… この名前を聞いただけでキタサンはワクワクしてしまう(笑)
バディ・テイトと言っても今ではコアなジャズファンでないと知る人はかなり減っているだろう この大正3年生まれのオヤジは当時で65歳 これでもかと言うような図太いホゲホゲテナーの怪音を出す。年齢的には一昔前では後期高齢者に片足を突っ込んでいるであろう老人が楽しみに聴きに来ている観客の為 本物のジャズを示すのである。

余り有名ではないmuseレーベルそして年代的にも70年、80年物は日本では人気が無い。人気が無くても こちらもオリジナル盤で中々盤の状態も良い それなのに800円か~安すぎる 内容的にはかなり高くなっても不思議ではない もちろんこちらは体が揺れる揺れる スイングしまくりであった。

もう1枚はコロンビアのアート・ファーマーのライブ盤 アート・ファーマはプレステッジやアトランテック、enjaのイメージが強いがコロンビア盤は珍しい、機会があればこちらも紹介しようと思っている。

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by kurama66644 | 2017-11-19 10:24 | ジャズ | Comments(2)

粋で鯔背(いなせ)

江戸っ子?に使われていた「粋でいなせ」なんて言葉は殆ど死後になっているが江戸っ子でもないキタサンが先日たまたま聴き返していたアルバムでその「粋といなせ」を感じてしまった。当然日本のものかと思いきや あちらさんの国そうジャズの本場アメリカさんのアルバムなのである(汗)
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「Maggie,s back in town!!」ハワード・マギーのコンテンポラリー盤である。
麻薬渦から立ち直ったコンテンポラリーでのマギーの復帰作である。片手で肩に軽くペットをかけるような いでたち…ロサンジェルスに観光に来たかのようなリラックスさをジャケットがよく捉えている。

この時 マギーは42歳 もう中堅というよりベテランの域にある。軽くあしらっていたマイルスも今ではジャズの革新者といえる存在になっていたしリー・モーガンやドナルド・バードも台頭著しい この時モダンジャズの成熟期である60年台に突入していた。復帰後のベツレヘム盤「ダスティ・ブルー」も素晴らしいが個人的にはこちらの「Maggie,s back in town!!」の方が好きである。

それは共演者の妙にもつながる。「ダスティー・ブルー」でのローランド・アレキサンダーやトミー・フラナガン、ロン・カーターなど東海岸のハード・バッパーの名手との演奏は正統派ジャズの様相を示しているかのようにも思う。ジャズメンの正装でもある三つボタンのスーツにサングラスのいでたち 別の言い方をすれば ちょっといい格好しいの演奏でもある。一方の「Maggie,s back in town!!」のフィニアス・ニューボーンJr. リロィ・ビネガー、シェリー・マンの面々は西海岸の名手達 この地域特有の暖かい陽気な雰囲気の中 「ハワード! これで何度目のシャバだい? まぁいいや気楽に演ろうや」「格好つけてスーツなんか着るんじゃねぇよ その窮屈なネクタイなんか外せや」こんな会話が聞こえそうである。リラックスした様子で楽しい演奏がこのアルバムでは聴ける。

キタサンが特に気に入ったのはフィニアスのピアノがいつもの饒舌なピアノを多少押さえハワード・マギーの調子に合わせたタッチが何ともいえないところである。トリオ演奏で見せる天才的な指運びではない軽く流暢なパッキングに徹している姿は又 貴重でもある。

ハワード・マギーのトランペットは往年のハイノート・ヒッターと決別するかのように終始穏やかだ。今の自分の実力、立ち位置、ジャズ演奏の時代の変化を麻薬から立ち直りまわりをみて 今までの自分を捨て力み無く演る そんな諦めのような清さを感じる。ただしB面最後の曲 ブラウニースピークスはかなりハードバピッシュな演奏であるのは(ハワード・マギーだけでなく他のメンバーも)クリフォード・ブラウンに敬意を表してか若い頃の燃える演奏を思い立たせる。

時代の潮流には乗り損ねたが それもこれも己のせい なるようにしかならない。新しい事は出来ないがかといって古い事にもこだわらない アメリカでありながら江戸っ子の粋でいなせな奔放さを感じてしまうキタサンの愛聴盤である。


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by kurama66644 | 2017-11-18 10:15 | ジャズ | Comments(0)

伝説のジャズボーカリスト

いささか大げさなタイトルだが若くして亡くなった実力のある方にこのような敬称を付ける事が多いように思う。

今回ご紹介するのは女性でしかも日本人の方「木村芳子」さんである。ボーカルファンでもそれほど知られていないのは先に挙げたように若くして亡くなり生涯1枚のアルバムしか発表していないせいもある。

45年生まれ、学生中に米軍キャンプで歌うようになり それから10年間都内のジャズクラブでバンド活動をする。第1回69年のニューポートジャズフェスティバル・ジャパンにも参加、ペドロ&カプリシャスの初代ボーカル前野曜子さんとも交友があり親友同士であった。

木村さんにレコーディングの話が持ちかけられたのは77年 ジャズボーカルという特異なジャンルの中 そういうレコーディングの話は当時は中々巡ってこない。大衆世界を相手に経済的採算性を考えると世間的に受けそうな歌謡曲やポップス系の人々にどうしてもレコーディングの機会は優先させられてしまう。
千載一遇のチャンスを与えられた木村さんであるが驚く事にバックを務めるのはゲイリー・フォスターやクレア・フィッシャーなどのアメリカの大物たち そしてレコーディングもロサンジェルスのスタジオと破格の待遇であった。地道な活動をしてメディアにも殆ど取り上げられなかった木村さんではあるが木村さんのジャズボーカルの実力もさることながらジャズレコードが徐々に売れ行きが上がった事と日本のレコーディング会社や個人プロデューサーがアメリカなど海外のミュージシャンとの交流を図り 日本のジャズも少しづつインターナショナルのマーケットを拡大していくという当時の背景と一致していた時期も関係があると思う。

アルバムタイトルは「メモリーズ」モリス・アルバートがヒットさせた曲でもある。
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選曲自体はこのメモリーズをはじめバーバラ・ストライザンドの追憶など ややポップス系の曲も入り硬派なガチガチのジャズアルバムではないが木村さんの歌声は正に「ジャズ」なのである それも「和ジャズ」と言っていいだろう。あちらの(米国)の歌手を真似してジャズっぽく作った感じはしない自然な歌声、無理の無い声量、感情を相手に押し付けない不思議なクール感も漂わせている。それでは情熱的ではないのか?というと不思議な事にその情熱が伝わってくる。これは日本で言う阿吽の呼吸と呼べばよいのか 歌い手と聴き手が何となく意思疎通できる感覚にも似ている そこら辺りが「和」を感じ同時にあちらの(米国)のジャズも感じてしまうのである。

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ジャケットは野暮ったいがちょっと低めの親しみのある声も日本人には受けると思う。30代の若さで亡くなられたのは非常に残念である。

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by kurama66644 | 2017-11-12 08:20 | ジャズ | Comments(0)

煙草の煙

煙草を吸わなくなって10年以上経つ。なにやら煙草の税率が上がり値上げを検討しているとか… 喫煙者にとって辛い世の中になってきた。
受動喫煙とかで吸わない権利を主張する人も多いが吸う側の権利も当然ある。しかしどこのお店、公共機関、乗り物等も喫煙者には厳しい感じにはなってきている。

キタサンも煙草を吸っていた時はヘビースモーカーと言うほどでもなく一日に数本吸うぐらいであとは飲み屋では多少多く吸う程度であった それゆえいざ禁煙する時は比較的スムーズに止められた。若い頃も何度か禁煙した事があったが大抵は1~2ヶ月ぐらいで又 吸うようになったのはジャズ喫茶や飲み屋に行くケースが多く その空間ではどうしても吸いたくなる欲求にかられたためである。現在は外で飲む機会は減り好きだったジャズ喫茶も行かなくなったので特別に吸いたいとも思わなくなった。

そうジャズ喫茶には煙草がつきものである(笑) 煙草と珈琲、小瓶のビールが似合う。そういう中 先日 平日であったが久しぶりに都内のジャズ喫茶に行った。
平日の昼間という事で客は私も含めて3人だけ 一人は老人で懐かしそうに目を閉じジャズに浸っているようだ そしてもう一人は背の高い外国の方…席を二つおいた私の横に座っていたが珍しそうに周りを見ていた 外国にはジャズ喫茶なんておかしなもの?はないので不思議な光景なのであろう。まぁそんな事はどうでもよいのだがその外国の方 煙草をスパスパ吸っていてその煙がキタサンのところに集中して漂ってくる… 実は昔自身が煙草を吸っていた時は煙草の煙なんてそれほど気にしていなかったのだが吸わなくなり10年が経つと もう煙草の煙は「アカン!」(笑)  においもそうだが正に煙が目にしみるようで(汗) どうにもこうにもならない しばらくしてその外人さんも帰られて煙は浴びなくて済んだが においは敏感に感じたままである ジャズ喫茶には煙草の煙がにおいと共に歴史として染み付いているのである。

オフ会などでキタサンに気を使って?ジャズをかけてくれる事はあるがそれはジャズという音楽であって「ジャズ」とは違うと思い聴いている。
ジャズ喫茶でかかっているジャズはいまどきの高精細なシステムに比べ どことなくぼんやりとした鳴り方をする。全てとは言わないが大掛かりなシステムの為 家庭用で調整と称して弄るのがそう簡単には出来ない あれこれと細かく弄る暇も余裕も無い ジャズ喫茶商売も今では殆どが赤字であろう われわれが家庭で聴いている趣味のオーディオとは意味合いが違う。
そういう場で鳴っているジャズは音楽ではなく人生の音 すなわちジャズの本質そのものなのである。たとえオーディオ機器を通した音であっても 生身の人間が演奏した本物のジャズに近いものがあると思っている。

家庭のクリーンな空間で聴くジャズと言う「音楽」は楽しいが「ジャズ」ではない。キタサンもすっかりクリーンな空間でのジャズという音楽に慣れてしまったが本物のジャズとの出会いに出かけたりする。 出かける数が減ってきたのは やはり煙草の煙が今では手ごわい存在で耐えられなくなってきたからなのかも…

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美味そうに吸っているなぁエバンス 薬ではなく煙草で我慢していればもう少し長生きできたのに…。

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by kurama66644 | 2017-11-03 11:07 | ジャズ | Comments(0)

ベースの音

ベースをリーダーするアルバムは全体数から見ると少ないがそれなりにある。リズム楽器として定着していたのでジャズの場合 リーダーが一応ベース奏者であるがホーンセクションをフューチャーしながらも比較的普通のアルバムよりベースの出番が多いという感じで控えめな構成になっていると思う。

ジャズオーディオ愛好家はベースやドラムの音に惹かれる人が多い 録音もそういう音を強調してマスターリング、編集等行っている場合が多い。
その為 スピーカーなどもベースの音がよりハッキリ出る方が快感でそのような調整をしているオーディオマニアも沢山いる。
ただし実際のステージなどではベースの音はPAを通さないと聞こえにくい、狭いこじんまりとした会場ならばまだしも広いホールなどでは生のベース音は観客席には聞こえずらい ステージ上でもベースの生のパッキングは近くにいる人でないと分かり難いと思う。

そういう事で生のベースに近い音で聴く事はあたかも自分が演奏者(共演者)になった気分にもなれる(笑)
ただし自分が演る方ではなく第三者として音楽を聴く上ではベースの過度の音は邪魔になってしまうと感じている。ジャズ喫茶は好きで昔よく行っていたが大口径からの鈍い大きなベースの音は個人的には馴染めなかった。それはその時代並行してライブ等にも通っていた影響もあると思う 生演奏が良い悪い、好き嫌いは別としてオーディオと決定的に違うのは「人」を感じられるかどうかだと思っている。オーディオは別の意味でレコードやCDなどの制作者やオーディオ機器を開発した人の意気込みや情念を感じる事ができるが生演奏にある目の前の演奏者から発せられる熱のようなもの そしてその演奏の瞬間は感じる事は出来ない。(収録されたその時からレコードやCDなどは過去の記録になってしまう)

感じられないと書いたがあくまでもキタサン個人の感覚であるから中には感じられる人もいるかもしれないので ご勘弁を。

最近 気に入ってよく聴くアルバムがある。
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こちらはベース奏者兼録音技師でもあるピーター・インドのアルバム。WAVE盤で再発ものである。
レニー・トリスターノの門下生でもあり滋味深い味わいのするベース奏者である。シーラ―・ジョーダンの歌が入るがところどころでボンボン鳴るベースがご愛嬌。
正直言うと中身は期待しておらずジャケ買いだったがいつの間のかお気に入りの1枚になっていた。


ベースの巨人 チャールス・ミンガスのアルバムは何枚も出されているが意外とこのユナイテッドアーティストの「ジャズポートレイト」は話題にもならない。
お決まりのリチャード・ワイアンズのピアノにミンガスグループの大番頭 ダニー・リッチモンドのドラム 客人はブッカー・アービンにジョン・ハンディという見た目はヤ〇ザ顔負けの面々で知性は感じられないが不思議と品格は感じられる好アルバムだと思っている。
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最後に真正ジャズ愛好家からは余り見向きもされない いまやクラッシックの巨匠とされるアンドレ・プレビンのこちらのアルバム
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フレッド・アステアをトリュビュートしたトリオアルバム。ベースは白人ベーシストの巨匠 レッド・ミッチェル。控えめどころか相変わらずブンブンベースが冴えている それでいて邪魔にならないのが不思議 心地よいベースの見本のような人。

本来 生ベースの音はそんなにハッキリ聴こえはしないのに何故かオーディオではベースの音の強弱でシステムの善し悪しを判断する人が多い。
音ありきのオーディオシステムも面白いがここ1~2年は別の角度からオーディオに興味を持ちだしている。



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by kurama66644 | 2017-07-14 12:46 | ジャズ | Comments(2)

ジミー・レイニー

昔からジャズギターには疎く CDを集めていた頃でもケニー・バレルやジム・ホールなど実際ライブ等で聴いた奏者のアルバムしか所有していなかった。

CDの数が増えだすと食指を伸ばして余り聴かないジャズギターのCDも少しづつ増えてきた。バーニー・ケッセル、ウェス・モンゴメリー、チャーリー・バード、タル・ファーロー等々 今はどうだか知らないが昔はジャズでは余り人気が無かった?とされるギターもアルバムとしてそれなりの枚数は出ているんだなぁとその当時は感心した。

オーディオを始めてアナログも行うようになってからもジャズギターのアルバムはそれほど買う事はなかったが何気に買ったアルバムがある それがこちら。
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ジミー・レイニーの「The Influence」ザナドゥーレーベルでベースがサム・ジョーンズ、ドラムがビリー・ヒギンスのピアノレストリオのものである。
こちらを購入した時はオリジナルかどうかなんて全く気にしていな頃で 切なそうな表情をしたジミー・レイニーのポートレイトに何故か惹かれて購入した ジャケ買いゆえ たまにしか聴かずにレコード棚の奥にしまったきりであった。(多分オリジナルかと思う)

そしてつい先日 ユニオンにてエサ箱を覗いていた時 物憂げな表情でこちらを見ているアルバムがあった。
それがこの「TWO JIMS AND ZOOT」である。
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タイトル通り二人のジム(ジミー・レイニーとジム・ホール)のツインギターにゲストとしてズートのテナーが加わったものである。
確かこのアルバム以前CDで持っていたと思うがステレオ録音だった気がしたのでステレオ針で最初は再生した。ところが中央部分に音が定位するので「アレ?」と思った
これはモノラル録音? 64年頃の録音だからまだモノラルでも録音していたのかなと思いつつ 途中から入るズートの爽快なテナーに心奪われる(^_^;)。
綺麗なギターの音色を出しているのがレイニーで ちょっとモコッとしたような感じの音色がホールのもの(だと思う)でそれが交互に現れ 中々面白いと思いながら聴いていたらあっという間にA面が終ってしまった。ギターアルバムでこんなに熱心に聴き入ったのは久しぶりで それならばと前述したジミー・レイニーのアルバムを久し振りに棚の奥から引っ張り出し聴いてみる。

先のズートのようなホーンが入っていないので物足りないかなぁ~と思ったが やはりレイニーのギターの音色が輝かしく魅力的であった。
これは今まで気づかなかったのは使っていたスピーカーがモニター調のものばかりだったからなのか…? それだけ現使用のMinimaがギターの音色をより良く出しているからなのかもしれない。ソナス製品は声楽や弦の音がとても美しいと評判であるがジャズ再生にとって美しさより むしろ泥臭さを表現できるかの方に重きを置く傾向にある。まぁそこは考え方なのだが泥臭さの中にも美しさは存在する そのスポットの当て方の違いと捉えればいいのかもしれないと思ったりして…

Minimaはその小さな筐体から想像もつかないほどゴリッとした低音が出るが それはあくまでもその大きさからとの注釈がつく 以前使用していたモニター調スピーカー群やJBLのスピーカー(これもモニター系だけど)に比べるとたかが知れている。楽器のフワッとした質感表現など他のスピーカーでは表現できないような鳴り方をする珍しいスピーカーであると思う。

最後はMinima自慢になってしまったが おそらくこのようなジャズ聴きの人はそんなにいないかと思う。部屋の大きさに余裕があればソナスの大型のスピーカーでジャズを聴いてみたいともジミー・レイニーのアルバムを聴いて思ってしまった。

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by kurama66644 | 2017-06-28 09:31 | ジャズ | Comments(0)

ページ・ワン

新主流派なる言葉を初めて聞いたのはもう何十年も前の事 ブルーノートのアルバムで4000番台辺りから活躍していた従来のバップやハードバップではない演奏をする新人たちのイメージがあったと思う。

実はその頃から その新主流派なる人達の演奏はそれほど興味は無かった それは今でも変わらない。
ところが興味は無かったが意外と面白いと思った奏者はいる その中の一人がジョー・ヘンダーソンである。
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リーダー作のデビューアルバムである 4140番「ページ・ワン」 最初はケニー・ドーハムが参加しているのでアルバム(その時はCD)を購入した。
これまで聴いたブルーノートのアルバム群に比べ音圧が少し低い様な感じを受け 普段よりもボリュームを少し上げて聴いていた。
相変わらずのドーハムの朴訥したペットの音の後にウネウネクネクネのサックス…同時期の新主流派テナー?のウェイン・ショーターと比べるとドーハム同様 朴訥とした音である。コルトレーンもある種ウネウネクネクネしていたが それをもう少し感情を抑えた音、音色と言ったらいいのか 正直言うと最初聴き初めの頃は余り魅力的とは思わなかった。

このアルバムの冒頭「ブルー・ボッサ」はドーハムが書いた曲でのちにジャズマンがよく取り上げる人気曲になったが この曲自体ドーハムが彼の為に書いた作品でライナーノーツでも彼を褒めちぎっている。

実際 ジョー・ヘンダーソンのライブステージを聴いたのは彼が亡くなる5年ぐらい前でレコード等で聴くサックスの音とはかなり違い大きな音であったのは驚いた。
(※ライブの音と家のミニコンポの出す音量では違うのは当たり前という意味ではない)
ただ うねるようなフレーズは健在でその特徴のある音に嵌ってしまい。「ページ・ワン」以降のブルーノートの諸作品を片っ端から買いあさり聴いていたのを思い出す。もっともその頃はまだオーディオ機器がなかったのでCDで気軽に聴いていたのだが今回アナログで自宅でちゃんとして聴くのは初めてと言っていいだろう。

ジャズ喫茶でもこのジョー・ヘンダーソンをリクエストする人は余り見た事が無かったように思うが彼はサイドメンとしても色々なアルバムに参加していたのでアナログでは多分聴いていたのかもしれない。モードやフリー、フュージョンもこなす器用さもあるが そこはバップを基礎として土台がしっかりしているからジャズを演奏するのに安定感がある。目立たないようでシッカリ主張している稀代のサックス奏者 ジョー・ヘンダーソン 64歳と比較的若い年齢で無くなったのは残念である。

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by kurama66644 | 2017-06-22 09:50 | ジャズ | Comments(2)

ジャズは好きです!


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