粋で鯔背(いなせ)

江戸っ子?に使われていた「粋でいなせ」なんて言葉は殆ど死後になっているが江戸っ子でもないキタサンが先日たまたま聴き返していたアルバムでその「粋といなせ」を感じてしまった。当然日本のものかと思いきや あちらさんの国そうジャズの本場アメリカさんのアルバムなのである(汗)
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「Maggie,s back in town!!」ハワード・マギーのコンテンポラリー盤である。
麻薬渦から立ち直ったコンテンポラリーでのマギーの復帰作である。片手で肩に軽くペットをかけるような いでたち…ロサンジェルスに観光に来たかのようなリラックスさをジャケットがよく捉えている。

この時 マギーは42歳 もう中堅というよりベテランの域にある。軽くあしらっていたマイルスも今ではジャズの革新者といえる存在になっていたしリー・モーガンやドナルド・バードも台頭著しい この時モダンジャズの成熟期である60年台に突入していた。復帰後のベツレヘム盤「ダスティ・ブルー」も素晴らしいが個人的にはこちらの「Maggie,s back in town!!」の方が好きである。

それは共演者の妙にもつながる。「ダスティー・ブルー」でのローランド・アレキサンダーやトミー・フラナガン、ロン・カーターなど東海岸のハード・バッパーの名手との演奏は正統派ジャズの様相を示しているかのようにも思う。ジャズメンの正装でもある三つボタンのスーツにサングラスのいでたち 別の言い方をすれば ちょっといい格好しいの演奏でもある。一方の「Maggie,s back in town!!」のフィニアス・ニューボーンJr. リロィ・ビネガー、シェリー・マンの面々は西海岸の名手達 この地域特有の暖かい陽気な雰囲気の中 「ハワード! これで何度目のシャバだい? まぁいいや気楽に演ろうや」「格好つけてスーツなんか着るんじゃねぇよ その窮屈なネクタイなんか外せや」こんな会話が聞こえそうである。リラックスした様子で楽しい演奏がこのアルバムでは聴ける。

キタサンが特に気に入ったのはフィニアスのピアノがいつもの饒舌なピアノを多少押さえハワード・マギーの調子に合わせたタッチが何ともいえないところである。トリオ演奏で見せる天才的な指運びではない軽く流暢なパッキングに徹している姿は又 貴重でもある。

ハワード・マギーのトランペットは往年のハイノート・ヒッターと決別するかのように終始穏やかだ。今の自分の実力、立ち位置、ジャズ演奏の時代の変化を麻薬から立ち直りまわりをみて 今までの自分を捨て力み無く演る そんな諦めのような清さを感じる。ただしB面最後の曲 ブラウニースピークスはかなりハードバピッシュな演奏であるのは(ハワード・マギーだけでなく他のメンバーも)クリフォード・ブラウンに敬意を表してか若い頃の燃える演奏を思い立たせる。

時代の潮流には乗り損ねたが それもこれも己のせい なるようにしかならない。新しい事は出来ないがかといって古い事にもこだわらない アメリカでありながら江戸っ子の粋でいなせな奔放さを感じてしまうキタサンの愛聴盤である。


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by kurama66644 | 2017-11-18 10:15 | ジャズ | Comments(0)

ジャズは好きです!


by キタサン
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