ひしゃげた音

ジャッキー・マクリーンのひしゃげた音色が好きである。パーカーに憧れパーカーを目指したがパーカーほど偉大にはなれなかった。
パーカーに憧れるのもいいがドラッグまで真似する事もなかった。後年は自らの体験も踏まえてドラッグ撲滅の運動を推進していた。

マクリーンはミストーンもなんのその 平然と何事も無かったように吹ききってしまう。同じパーカー派のアルト奏者でもフィル・ウッズやソニー・ステットほど上手くはなかったが哀愁があった。いわゆるマクリーン節というやつである。その音色にノックアウトさせられる事もしばしばで日本の独自文化「ジャズ喫茶」のアイドルでもあった。

もう無くなったが神保町の「響」や上野の「イトウ」吉祥寺の「ファンキー」など都内ジャズ喫茶でマクリーンをリクエストした。
キタサンがリクエストしたのは「4.5&6」や「ア・ロング・ドリンク・オブ・ザ・ブルース」などのプレステッジ時代のものが多かったような気がする。
そしてブルーノート時代ではマクリーンには珍しい正統派の印象を受けたこのアルバムをよくリクエストした
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「スィング・スワング・スインギン」である。
のちにオーネット・コールマンのフリーの洗礼を受けたアルバムやモードっぽいものが多かったがこちらのアルバムは結構まともで聴きやすかった。
今も愛聴盤ではあるが アナログオリジナルなんて高価で手に入らない。CDでもう十分である。
それにしても このアルバム独特の蒼さを感じる。何かに向かってひたむきに吹いているようだ、切実な思いが込められているといった方がよいのか?
青年から大人に変わる狭間の何とも言えない蒼さなのである。この蒼さを持った演奏はマクリーンだけのもの キャノンボールやフィル・ウッズ、そしてパーカーでも出ない マクリーンだけだと思っている。

パーカーは遥か昔に亡くなっていたがマクリーンは存命中だったので80年代と90年代 2回ほど聴きにいった。

聴いて驚いたのは あのひしゃげた音色はそのままであった事。そしてあの蒼さも残っていたのはとてもうれしかった。
当時はオーディオ機器なんてものは家には無かったし アナログプレーヤーも当然ない。ミニコンポで「スイング・スワング・スインギン」やマル・ウォルドロンの「レフト・アローン」、ソニー・クラーク「クール・ストラッティン」を帰宅してから何度も聴いた。そばで吹いていたマクリーンの詰まったようなひしゃげた音がミニコンポから鳴る、そうすると脳内でシンクロし目の前で吹いているような錯覚を覚えた。 あの頃は いつもそうだった 演奏を聴きに行き帰宅し家の小さなミニコンポでCDをかける。そうすると演奏時の余韻がミニコンポの音を変える 立派なステレオ装置は必要なかった。その体験が今でも体の中に残っている…。

オーディオを始めてから その感触が希薄になってきたような気がする。
年に1回ぐらいしか外で聴かなくなり 聴いてもオーディオ脳が邪魔をする…素直に聴けなくなってきた

今年に入り ステレオ再生を諦め 音を意識しないように聴くようになった。 すると段々昔の体験が蘇ってくる Minimaから鳴るマクリーンの「スィング・スワング・スインギン」 あのひしゃげた音はCDながら 実物の音とそっくりに脳内をこだまし マクリーンの音楽が聴こえる瞬間である。

キタサンの癖でジャズの巨人たちと逢った時はサインを貰わず 握手してもらう「この手でこの指でアルトサックスを吹いているのか」と感激する。
自分もちょうどサックスを吹いていた時期なのでマクリーンの指の感触が残って さぞ上手く吹けるだろうと思ったが 上手くは鳴らなかった…何事もコツコツと練習が必要なのは言うまでもない。



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by kurama66644 | 2017-04-02 08:35 | ジャズ | Comments(0)

ジャズは好きです!


by キタサン
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