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FUZZ MOTION

1990年頃 ジャズのCD蒐集を本格化させ 枚数が日に日に増えていった。当時はインターネットもなく情報としては本、雑誌などの媒体に頼らざるおえなかった。
今は廃刊となったスィングジャーナルも愛読書として新譜情報など眺めては良さそうなアルバム(自分の場合はCD)をセレクトしていた。

そのスィングジャーナルでは国内外のアルバムそしてアーティストなど優秀なもの、人を何々大賞 他ゴールドディスクだったか?選んでは表彰していた?記憶がある。

当時日本人のものは見向きもしない偏見的な態度をとっていたキタサンだが 一人 気にかかっていた日本人テナー奏者がいた。
その名は「今津雅仁」。ロリンズだコルトレーンだと言っていた中 アーネット・コブやバディ・ティトの系譜をいくファンキーテナーを吹き異彩を放ってのデビューである。豪快ながらも知的な感覚が好きな日本人はこのファンキーなジャズを敬遠、ないしは一段下とみなし 見下す風潮があったが 今津雅仁が吹くテナーは豪快でアーシーであり知的がナンボのモノじゃい!という反骨精神があったような気がする。

バークレイを首席で卒業した優等生ジャズマンが脚光を浴びる中で 面白い人もいるもんだなぁと感心し この人のアルバムが発売されると購入していった。
メディアも注目して実際 新人では初めて日本ジャズ大賞を受賞し 日本人テナーの読者投票でも3年連続1位を獲得して人気は上がっていった。

順調にジャズの活動をしていたようだが95年の阪神大震災で家族を亡くされ ショックで引退同様の生活をされていたらしい。その後 この人がどうなったのか知らないでいた。ネットで調べると2000年直前に復帰レコーディングされたようだが作品が出る直前に交通事故に合い再起不能で2度目の引退、 近年奇跡的な復帰をされ自身もそうだが後進の指導もされ活躍されているようである。

不運でハードな生き方を余儀なくされ 日本人には珍しいジャジーな人だと思ってしまった。

この人のCDは今は持っていないがちょうど1年ぐらい前に懐かしく思いアナログを購入していた。久しぶりに聴いたが今の日本人には出せない音が聴こえる。
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ファンハウスから出された2枚目のアルバムで全て自身の作曲である。非常にメロディアスで分かりやすい。

インタビューの中で「たとえばサラリーマンの人達が俺のライブ聴きに来るわけですよ。満員電車に揺られ、上司に文句を言われ、残業もして非常に疲れている。そういう人達をさらに疲れさせてどうするの」と話していた。難しい事も出来るのに演奏が単純明快で分かり易いのは意図して行なわれている。ファンが喜んでくれれば満足であると考えているのだと思う。

※タイトルのFUZZ MOTIONは彼のバンド名である。

by kurama66644 | 2015-08-11 09:17 | ジャズ | Comments(0)